左手

2013年3月23日 (土)

チェロウォーキング

チェロのボウイングがうまくなるウォーキング。

ローテータカフを安定させながら、肩甲骨の動きを良くし、かつ上腕三頭筋のコントロールを良くします。

通常のウォーキングでは、肩甲骨を前後によく動かすために、肘を曲げて前後のに大きく降りながら歩いたりしますが、その肘を比較的広い角度に開き、しかしまっすぐまで開かない、先弓の角度にします。さらに、脇の下に空間がいつもあるようにしておきます。

こうして腕を振りながら歩きましょう。

肩甲骨が前後に大きく動くと歩幅も大きくなり、インナーマッスルなどとあわせて代謝が良くなると言われる部分の動きも大きく、ダイエットにもよく効くのでは。

やってると、すこしゴリラっぽいような気がする。左右間違えなければ大丈夫。手と足を同時に出さないように。

やってみた方、感想をお寄せください。

2013年3月16日 (土)

ボウイングの天才「ローテーターカフ」

ローテーターカフとは、肩のインナーマッスルで、肩甲骨の表と裏から始まり、肩関節を抱え込むようにつながっているいくつかの筋肉のグループです。肩関節の内旋、外旋の動きをしたり、肩関節を安定させたりします。

この筋肉に気づいて、意識的に自在にコントロール出来ると、ボウイングが魔法のように良くなります。

たとえば先弓に重さを載せる場合、手首をひねりを強くするだけでは、あまりうまくいきません。変に力が入って、動きが悪くなったり、聞きづらい雑音が生じたりします。

手首のひねりは、実際には手首をひねっている訳ではなくて、上腕の橈骨にたいして尺骨を交差させている、すなわち上腕を肘あたりからひねっている動きで、これを肘の回内というそうです(コップの水をひっくり返して捨てる動き)。

それに対して、腕そのものを肩からひねる動きを作るのが、ローテータカフで、これが出来ると、先弓に重さを載せるのなど朝飯前、それだけでなく、肘や手の力が抜きやすくなり、ボウイングのコントロールが容易になるのです。

名付けて、ボウイングの天才「ローテーターカフ」。

さて、実際には意識的にしろ無意識的にしろ、多少の差はあっても、ローテーターカフは使っているのだと思います。これを、意識して使えるようにするにはどうしたら良いのでしょう。

ネット上や書籍には、ローテーターカフを鍛える筋トレや、ストレッチなどさまざまな方法が説明されています(50肩の処置として説明されているものもあります)が、ひとつごくごく手軽にローテーターカフを意識する方法を思いついたので紹介します。

それは、「コーヒーカップを逆手にもって飲む」。もちろん「テー」でもかまいませんが。

つまりこういうことです。

普通は、こうもつ。

Cafeej

それを、こうもってみる。

Cafees

どうですか?肘から手首のひねりだけでは持ちにくいし、持てても飲みにくいでしょう。肩からのひねりを使うと、容易に飲むことが出来ませすね。これがローテータカフ肩の内旋で、先弓に重さを乗せる方向です。

試しに、その形でカップを置いて、ひねりをそのままで肘をのばしてください。きれいな先弓の形になるでしょう。

ただし、痛みがある時は無理しないでください。50肩かもしれませんよ。

ぜひお試しください。効果抜群です。

2012年7月 5日 (木)

ヴィヴラートとは何か

 室内楽をしていると、クラリネットと共演することが多い。弦と合わせて美しいアンサンブルを奏でることができるクラリネット奏者やピアニストは、相当な腕前である。

 ピアノはもちろん、クラリネットはほとんどヴィヴラートがかからない。その単純さゆえに名手の演奏にはこの世のものとは思えない美しさがある。

 同じ管楽器でも、オーボエは常時ヴィヴラートがかかっているように聞こえる。また、クラリネットや金管楽器であっても、ジャズやポップス系の音楽では、クラシックより頻繁にヴィヴラートがかかっている。

 これら、シチュエーションや楽器によって、ヴィヴラートの違いが出るのは何故なのか。また、どういう、あるいはどんな時のヴィヴラートが美しく、またそうではないのか。これらはわれわれチェリストを含めた、演奏者の永遠の課題だ。

 ヴィヴラートは、楽器演奏だけに現れるのではなく、むしろこちらの方が原点だと思うのだが、声楽においては、ヴィヴラートはなくてはならないようなものに見える。「見える」と表現したのは、なくてはならないものが、実は不要なものだという風にも言えるようだからだ。

 オペラ歌唱を茶化した演奏など、たとえばテレビのバラエティーやコマーシャルなどで、ピッチが半音近く変化するヴィヴラートをかけていることがある。これは、そういう演奏がステロタイプで笑いを誘うから、なのだろう。名演奏と言われるオペラを聴いたことがあれば分かるはずだが、クラシックの正統な演奏においてそんなにピッチが変化するヴィヴラートがかけられていることはない。そもそもピッチが変化すると音程感が薄くなり、たとえばモーツァルトの音楽(それがワグナーであっても)が台無しになってしまう。

 さて、そういった美しい正統な歌手の演奏は、声楽の専門家に言わせると「ヴィヴラートがかかっていない、良い演奏だ」と表現することがある。これはどういったことなのか。チェロの通常の演奏にヴィヴラートがつきもので、それと似たような現象があるにもかかわらず、これはヴィヴラートではないというのだ。

 お互いちょっとしたレトリックの違いはあるかもしれない。人に技術を教えるとき、感覚を表現するのに、特に音楽の専門家以外に物事をわかりやすくするために、ちょっとしたレトリックを使うことはある。しかし、ここには単なるレトリックの違いを超えた、重要で、本質的なものがあるようにも感ずるのだ。

 それが「可能」であれば、ヴィヴラートのかかっていない比較的平滑なエンベロープを持つ音を出すことは、美しさにつながる。それは楽器の構造に大きく起因している。木管楽器ではクラリネット、また多くの金管楽器などは、エンベロープに対して安定した構造になっているのでそれが「可能」なのだ。

 一方それが不安定なオーボエやフルートなどは、平滑なエンベロープを持つ音を出すことが難しい。これらの管楽器はエンベロープを維持することだけでなく、ピッチを維持することも難しい。こういった楽器のヴィヴラートは、一つの目的として、もともと楽器の持つ不安定さを逆に安定させるためのもの、と言えないだろうか。


 歌唱もそうなのであろうことは想像に難くない。歌唱は発声において、呼吸法を学び、腹筋や横隔膜の意識を学び、そのうえでしっかりとした体の支えで歌う。この体の支えが、管楽器の共鳴体であり、声帯がマウスピースとなぞられることが可能だろう。それらが不安定であれば、音程まで不安定な大きなヴィヴラートがかかった不快な声となり、安定していればヴィヴラートの少ない安定した音が出る。声楽家にとっては、安定した発声のできる体作りは欠かせないのだ。

 であれば弦楽器もそうだと言えるだろう。管楽器と同じように弦楽器はその体自体は変化させることはない。というより、体自体を変化させることができるのは声楽だけである。変化させる部分は、発声体であるボウイングと、ピストンやキィに相当する左手のフィンガリングである。

 話を進めるにおいてここで整理しておかなくてはならないことがある。すなわち、ヴィヴラートとは、「かける」ものなのか「かかる」ものなのか、ということである。筆者の感じる今の現実は、これらは二律背反するものではなくどちらもある。

 ただ、ヴィヴラートのという項目は前者として語られることが多く、後者として語られることはほとんどないように思う。ところが、良い演奏、これはなにもうがったことを考える必要はなく、巷にCDなどとして流通する一流の名手などの演奏でよいが、そこへのアプローチを考えたとき、後者の重要性のほうがはるかに大きいように思う。上記のこれまでの議論は、完全に後者のアプローチである。

 また、後者のものであるにもかかわらず、前者として語られることも多い。これは無理もないことであり、次へ論をするめるにあたっても、これらを混同せずに語ることができるかは筆者にもあまり自信はない。やはりヴィヴラートもほかのテクニックと同じように、それを作り出すにおいては、演奏者の主観、そして感覚的なものであるから、ある程度のレトリックが生ずるのはやむを得ないことかもしれない。

 さてエスキューズはこのくらいにして本題に戻そう。

 弦楽器のヴィヴラートといったが、少し責任範囲を狭めてチェロのヴィヴラートに話を絞ろう。ヴァイオリニストはこの世にごまんといて、彼らのことは彼ら自身に考えてもらいたい。しかし、もしこの話が多少なりともヒントになれば幸いだ。

 チェロの演奏において、常時動的な状態にあるのは、ボウイングとフィンガリングである。フィンガリング、というと指使いのみに思われそうだが、ポジショニング、シフティングといった左手及び左腕全般のテクニックを、ここではフィンガリングと呼ぶことにする。指をどう運ぶかが左手のテクニックである、と考えれば、左腕全般の動きも、それは含むことになると考える。

 ヴィヴラートは、フィンガリングのテクニックである、と思われている。それは否定しえないが、ヴィヴラートが音の安定性を担保しているという、つまり「かかる」ものだと考えるとそう単純なものではない。

 実はノンヴィヴラート奏法、といったものがある。常に解放弦を弾いているような弾き方をするのである。このように、例えばクラリネットのように、平滑なエンベロープに近い形で演奏することは可能である。古楽を演奏するようなシチュエーションで使用することが多い。

 モダンの楽器、つまりいま普通に手に入る楽器を使用してノンヴィヴラートで弾き続けようとすると、かなりストレスが溜まる。楽器の初心者がヴィヴラートをかけることが出来ないのは、ほぼ左手に力が入りすぎているからだが、そういった状態を力を入れずにわざと作り出さなければならないのは、実はボウイングも含めてきわめて大変である。

 大変ではあってもそれが成功すれば確かにいい音が出る。解放弦を良い音で弾いているのと同じ理屈だ。それが可能なのは、バロックチェロといった古楽用にチューニングされた楽器を使用し、フィンガリングかかるストレスが少なく、巧みなボウイングをもって小さいながらも豊かな響きを作れる状態において有効なのだ。

 モダンの楽器はそういった演奏には向いていない。スチール弦が張れるように楽器は改良されており、そのためフィンガリングには比較的大きなストレスがかかり、ボウイングは豊かな音量を求められる。モダンの楽器で常時それを弾くのは、例えばオーボエをノンヴィヴラートで弾く、に近い困難さがあるように思える。

 すなわち、音を安定させるのに困難なストレスが、フィンガリング中に常時存在するということなのだ。しかしそれでも安定しているに越したことはなく、むしろ安定したピッチで、ピッチの揺れることのない左手の強さ、しなやかさ、脱力、これらの矛盾を止揚したところにあるフィンガリングの技術を求められる。これらは、安定した発声ができる体つくりをする声楽家と同じである。

 そしてそのうえでなおかつ存在する、もともとミニマルに持っている演奏者および楽器の揺らぎがヴィヴラートとして表現されるのだと、いったん考えてみたい。これが「かかる」ヴィヴラートである。この文章を注意深く読んでいる方はお分かりのように、この状態は、一部の声楽家に言わせるとヴィヴラートが「かかっていない」、良い状態と言えるのだ。

 それでもなおかつ、名手の演奏を聴いて、そんな消極的なヴィヴラートしかかかっていないようには思えないかもしれない。たしかに、ここに、マイスキー、ヨーヨーマ、カザルス、シュタルケル、藤原真理、長谷川陽子などのCDがあるけれども、どれも個性的で美しいヴィヴラートがかかっているように聞こえる。しかし、実はこれらは、基本を忠実に追求したうえでの、頂点だけに存在するミニマルな揺らぎなのだ。そしてだからこそ、そこに大きな音の差が表れると言えるだろう。

 ヴィヴラートが大きくかかっているように聞こえる理由はもう一つある。それは優れたボウイングだ。耳だけで彼らの演奏を真似しようとして、左手を大きくくねらせて振動させ、音程までも変化させる悪質で聞くに堪えないヴィヴラートをかけてしまうことはないだろうか?しかしそんなことをついついしてしまうほどに、名手のヴィヴラートは大きく美しい。

 ヴィヴラートをボウイングでかけている、というわけではない。あるいはそう表現する人もいるけれでも、右手で音のエンベロープをゆらゆら動かしているわけではない。そうではなく、正しく美しいまっすぐなボウイングは、勢い弦の振動を大きくする。弦の振動の大きさは、デシベル的に言えば大きな音と言えるかもしれないが、実はディナーミクがピアニシモであっても、遠くに響かせるためには弦を十分振動させなければならない。いわんや、フォルテシモにおいておや、である。

 そしてそのよく響いた弦の振動が、ミニマルな揺らぎを大きくする、ということだ。弦が振動すれば、ピッチの不安定さが増す。それらを安定した状態とするためにヴィヴラートがより増幅されるのである。こういうことにおいても、チェロにおいてどれだけボウイングが重要かを知ることが出来る。このボウイングによるヴィヴラートの増幅は、C線のような低弦により強く感じることが出来る。低い弦を響かせるためには、より大きな振幅が必要であるからだ。

 すなわち「かかる」ヴィヴラートとは、安定してよく響くチェロの音を出すためのミニマルな揺らぎであり、しかしまた、そこに演奏者の個性が大きく現れるのである。

 最後に、「かける」ヴィヴラートの話をすこししておこう。チェロにおいては「かかる」ヴィヴラートを超えて自分で「かけよう」とすると、音程の変化する聴きずらいヴィヴラートとなる。これはどんなクラシック音楽においても同じだし、多くチェロが使われるあらゆる音楽において同じである。

 実は、チェロ演奏において、おそらくは「かける」ヴィヴラートが多すぎるという批判を言い出したのは、フルニエなのだと藤原真理さんに教えられた。なにか古くからある概念のように書いてはみたが、余計なヴィヴラートが不快なものなのだという美的観念は、比較的近代的なものなのかもしれない。

 「かける」ヴィヴラートがジャズやポップスにおいて多いと書いたが、それは、そうすることによってそれらの音楽が美しくなるからにほかならない。「かける」ヴィヴラートがピッチを変えることにあるのであれば、そこに正当な理由があるのである。

 よく、クラシックの先生が「演歌みたいなヴィヴラートをかけるな」と言ってしまうが、それは演歌歌手に失礼な話である。要するに、演歌を聴かないということなのだろうけれども。

 演歌歌手であっても、うまい歌手はそんなヴィヴラートを頻繁にかけたりしない。オペラ歌手と同じである。演歌に特徴的なのは、絶妙なタイミングで入るコブシやシャクリといった、クラシックでいえばロマンチックなポルタメントに相当するもので、これらはもともとピッチを操る高等な歌唱法でヴィヴラートとは違うのだが、これらの特徴を若干はき違えているのではないか。

 確かにピッチを変化させるヴィヴラートのようなものをかける場合がある。もしそれを常時かけているといたら、単に練習不足で支えのなくなった喉なのだろうが、これはきっちりとた意味をもつところにあるはずだ。うまい演歌歌手の良いタイミングで「かける」ヴィヴラートは、さすがだと思うことも多い。

 これはなんなのだろうか。実はオペラアリアでも似たようなことがある、しかし通常それはヴィヴラートとは呼ばれず、トリルと呼ばれている。アリアでのトリルは、演歌でいうヴィヴラートに似ているのだ。すなわちどちらも、音楽上必要な、あるいは必要を超えて美しさを添える装飾なのだ。

 こうった装飾は演歌に限らない。注意深くジャズのスタンダードナンバーを聴いていれば、ソロが効果的なヴィヴラートをかけるところは総じて装飾的である。クラシックよりも自ら装飾の幅の広いジャズやポップス、演歌などには、「かける」ヴィヴラートを効果的に使用できる範囲もまた広いと言えるだろう。

 もしチェロでそれをするとしてもやはり、「かける」ヴィヴラートは装飾、すなわちアドリブである。良い響き、良い音を出す以上に、アドリブがそこに必要であろうか。クラシカルな場面では特に、否と言える。もしポップな場面で、チェロにそういう要望はあるとすれば、どうするか?

 音楽は変化し、文化も変化する。ここで明確な結論を出す必要はないだろう。

2008年2月22日 (金)

気になるポジショニング(7)

 3月も近づいて、メジロが訪れるようになりました

 このブログのコアな読者層は、なんといってもうちの生徒さん。ただ、つきに何度かお会いするので、あまりコメントはつけてもらえません。会ったとき聞けばいーや…というより、顔、姿が見えると気恥ずかしい?ネット社会学的現象であります

 しかしやはりそこはコア読者で、実際にT-Positionを試していただいている方もちらほら。メリットとしては、やはり「親指の場所が明確になるので、ポジショニングの考え方を整理できる」とのことですが、デメリットととしては「従来形と混乱する」、シールに関しては「探りながらやると、ぎこちないし、間に合わない」。シールは、探りながらポジショニングするのではなくて、ポジション移動の動きの結果の答え合わせとして使うのが良いとは思いますが、ポジション移動に限らず、体の動きに関することについて、骨格や筋肉への感覚の問題と合わせて少しずつ考えていきたいと思っています。

 いずれにしても、今後も課題は多いですね。フィードバックを参考に洗練していければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 今日はT-Positonのひとつの応用、下への拡張(forward extension)の問題を少々。

 1の指と2の指を全音の幅に拡げる拡張形ですが、基本形からそこへ至るプロセスで、難しいのが下への拡張。上への拡張がほぼ1の指を伸ばすだけで良いのに対して、下への拡張は、1の指を押さえながら、その関節を伸ばしつつ、2から4及び親指をすべて半音高く移動し、結果として拡張形をつくると、言葉で説明すると長たらしい動作をするわけですが、実際にやってみても、「むむできない」「スムーズに行かない」という方、多いんじゃないでしょうか。

 実際、初心者の難所のひとつであり、すでに初心者という範疇を外れそうな方も、この難所を残したままにしている場合もあるほど。

 何が起こるかというと、1の指が伸びていってくれない、親指がついていってくれないなどで、結果として「かよわい小指?その2」で言っているような尺側偏位になってしまい、そのあとがばらばらになる。
 
 T-Positionの考え方ですと、下への拡張はないのですが、ポジショニングの経過として下へ拡張しないというのはちょっと考えにくいです。しかし、それを学ぶ、イメージする過程においては、下への拡張を、上への拡張からはじめてみるというのはひとつの方法ではないかと思ってます。
 
 最初の譜は、シュレーダー170練習曲集からI巻27番です。
Sh27  
 上にT-Positionが書いてありますが、この形では通常最初の丸印Eのところで、Eを弾きながら下へ拡張する、と学びます。その後、Fisを弾いてから、拡張した1の指を基本形に戻します。実際それが出来ればその方がスムーズな運びかもしれません。

 しかし、これは拡張ではなくて、T1からT2へのポジション移動と考えても良いわけです。EからFisへうつる瞬間にポジション移動を行い、手をすべて移動すれば足ります。拡張するのとどちらがやさしいですか?

 この曲の場合は、その後G線でAisを弾くので、1の指を伸ばす必要もなくなりますが、2番目の丸印のときに、1の指を上に拡張することによって、結果として下への拡張と同じになっています。
 
 この2番目の譜は、どうでしょう?
Agf  
 このときも、下への拡張は欠かせないように見えますが、やはり、「T2」になったFisのときにポジション移動を行うと、考えてください。そしてその後、Eを弾くまでの間に、ゆっくり1の指を上に拡張する。

 第一ポジションの下への拡張は、この「T1」から「T2」へのポジション移動と、1の指の(上への)拡張をほぼ同時に行う、という動作に非常に良く似ています。なので、やりやすいポジション移動(手全体を動かす)ことと、上への拡張を、まずその順番にゆっくり行い、その間隔を次第に狭めていく。
 
 そうすることによって、下へのスムーズな拡張の感覚が身につけやすくなる、と考えてみました。
 
 下への拡張がどうも苦手だ、という方は、ひとつ試してみていただけますか?

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2008年2月15日 (金)

気になるポジショニング(6)

Choco1_2 家族からのチョコ。ケーキが妻からで、生チョコが娘からです。もうこんなん作るようになったのね~ありがとうChoco2_3

さて、T-Positionの具体的な場所がわかりかけたところで、E-durを弾いてみましょう。T-Positionでポジショニングをすると、拡張形への変化は上への拡張(Backward Extension)を中心に考えればよく、多くの人がやりにくい(見てると、やりにくそう。広げた後の形がなんとも苦しそうになっている人が多くて)、下への拡張(Forward Extension)を少なくすることができます。T-Positon自体の中に下への拡張の考え方がないので、下へ拡張することをまったくしなくて良さそうに思えますが、さすがにそうはいきません。しかし、下への拡張を限りなく上への拡張に近く変化させることにより、拡張のぎこちなさを解決する道はあると思います。それはまた後日

上への拡張は、端的に1の指、人差し指を上に伸ばすというだけのものと考えても、あまり言い過ぎではないと思います。上腕の筋が延びるため、わずかにひじを動かすほうが良いこともあります。しかし、下への拡張に比べればはるかに簡単ですよね。

E-Durのスケールでは、上行形でG線T2(A,H,Cis)からD線TH(Dis,E,Fis)へのところ。下行形でやはり同じところ。上行形では、1の指を閉じてから、THへ親指を異動、下行では、該当するポジションの親指の位置を定めてから1の指を上に広げるという方法の方が、手の動きはスムーズになるのではないでしょうか

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2008年2月14日 (木)

気になるポジショニング(5)

 「とんねるず」の番組にありますよね…「実食!」て。

 ちゃうちゃう!今回は実測してみました。
 
Neck02  この写真は何でしょう。ネックを裏から撮っています。T-Positionを実測するために、それぞれの親指の位置にシールを貼ってみました。初心者が指板にシールやテープを張って見ながら練習することがありますが、シールを貼って練習することの是非はたしかにあります。いまはちょっとそれはおいておきましょう。

 このシール自体はネックの裏にあるわけですから、見ることができません。触って感じることができるように、すこし立体的なシールを貼ってみましょう。そこで、それを親指で感じながらポジショニングをしてみるのです。

 さらに、これを実際に試してみる方のために、大雑把ではありますが、糸と鉛筆と物差しを使って、上部のナットからの距離、すなわち弦の端からの距離を測ってみました。これは楽器の個体差があるので、多少の誤差はあります。なによりそんなに精密に僕が測れませんから。参考のために、弦の長さ、すなわち上のナットから駒までの距離は、688mmでした。

 なお、T4ポジションは通常ネックのつぼに親指を当てるので、シールを貼りません。

 もちろん、ある程度ポジショニングがしっかりしている人にはシールなど逆にうっとうしいでしょう。しかしシールを貼ってみてわかることもあります。ポジショニングの距離感のイメージです。見てわかるものと、触ってわかるもの、実感してみていただけると、良いのですが。勉強中の方には、特に参考になるのではと思います。

 それに、この親指のシールの位置で一意にポジションが説明できる、これがT-Positionの最大のメリットです。この、シールの位置に親指を当てて、ときに移弦をし、拡張のときは1の指をうえに拡げる、そうやって先ほどのE-durのスケールを弾いてみてください。

 どんな感じですか

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2008年2月12日 (火)

気になるポジショニング(4)

Sazanka_2  岡山は昨日、すこーし暖かかったようです。
でも、さざんかはきれい。

今日は朝からスケールの練習をしてみましょうか(そんなにイヤな顔しないように)

ある程度のネックポジションに慣れてきた方には、E-Durの練習を奨めています。E-Durは、#が4つ。ネックポジションの範囲で2オクターブ弾ける、一番頻度の高く、開放弦を全く使わない(ように弾く)一番難しいスケールだと思うからです(Es-Durでも可)。

似たような範囲の調には、Fis-Dur,Des-Durなどがありますが、それぞれ#が6つ、♭が5つの調です。弦楽器にはあまりたくさんは出てきません。が、もちろんすべてマスターしなければなりませんけど。そこは気長に

ただしこのフィンガリングのパターンは、覚えてしまえばあらゆる音階に適用可能な応用範囲のひろいものです。もちろんどんな教本にも載っています。前述のFis-Dur,Des-Durも注意してさらえば、ほぼ同じなんだということがわかるでしょう。

本来スケールをさらううえで、いちばんの問題となるのは、「音感」ですが、そこはそれで重要なのでまた別に

今回は、「T-Position」の適用の譜をつくるために使います。
まずは、これを見ておいてくださいね。

Edur_4

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2008年2月11日 (月)

気になるポジショニング(3)

まだ寒い朝です

 顔洗って袖口がぬれると冷たくて、いつまでも気になることないですか(アルアル)?どうしても気になるので、さっきまでドライヤーで乾かしてました。ついでに頭もちょっとセットしたりして

 舌の具合はだいぶいいです

 さて、ポジションの新名称体系「T-Position」の続きです。

 昨日の譜「D線のT-Position一覧」を見てください(ポップアップウィンドウでは下の方が切れてしまうようなので、いったん右クリック「名前をつけて画像を保存」で保存してから、見てください)。

 これらのうち、左上部に書かれた太い文字「TH」から「T4」は、「T-Position」の名称であることは説明しました。ところで、譜の小節に書かれた()は何でしょう?

 これは、従来のポジションを表しています。独自に省略していますので、その説明と「T-Position」との対照表を作りました。

 Tpositionlistnewこの対照表を見てください。作るときもちょっと混乱しながら作ったんですが、従来型の名称がダブりも含めてかなり 複雑なのがわかりますね。こんなことを学んでいるのです。でも実際に演奏するときは、チェリストは「T-Position」のように、親指の位置でポジショニングしているはずなのです。この体系のように理解しているかどうかは別として。それなら最初からそのように覚えたらいいかも、という僕の発想です。

 そこで、「D線のT-Position一覧」をもう一度見てください。これらはそれぞれ、2の指がどこにあるかで分類されているということです。確かに、「TH」は2の指がE。「T1」はF、「T2」はFis、「T2’」はG…。そして拡張形は、音符の下にカギカッコ(横向きの[)で表示されていますが、2の指を共通にして1の指を上に広げた形でそれぞれのポジションの最初の小節にあります。
 一番の特徴はここで、上への拡張形(Backward Extesion)は、親指の異動を伴わないということです。従来型のように下への拡張(Forward Extention)を同一ポジションの名称にするよりも、実際にポジションを取るための表現として合理的だと思うのです。

 デメリットは表でわかるとおり、従来型との若干のずれがあるため、慣れが必要ということ、そのことに連動して、楽譜の音符上の上下に対するポジションともほんの少し異なる事があるということです。しかしその差異は、一意にポジションを決定できるメリットに比較するとごくわずかだと思うのですが、いかがでしょう?

 この一覧では、従来型の第4ポジション基本形までとしています。第4ポジションの下への拡張(Forward Extention)や、高い第4ポジション(Raised 4th)は、ポジションそのものは親指の位置をネックのつぼに固定しているため、形をおぼえさえすれば取りやすいポジションなので、ここで触れる必要はありません。そして、親指を使用し4の指をあまり使わない高いポジションとの境界線はおおむねこのへんでしょう。これ以降は従来のポジション名称でも特に不都合はありません。もちろん、ネックポジションで親指を使用するメソッドについてはここでは度外視しています。

 次回からは、この「T-Position」を実際の楽譜に適用してみようと思います。

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2008年2月10日 (日)

気になるポジショニング(2)

 夕べ、食事中舌の先を噛んでしまいました、イタタ。今日はしゃべるなということかな?

 モノを書くのは問題ないと思うので

 こないだこんなこと聞かれました

「(第一ポジションのC-Durのスケールを弾いていて)なぜ、C線とG線は(フィンガリングが)1,3,4で、D線とA線は1,2,4なのでしょうか?」

 この問いに理屈で答えることも可能ですが、しかしそれだけではない示唆的なものを感じるのです。この質問をされた方は、楽譜が読めないわけではなく、またチェロの調弦についての知識がないわけでもありません。多少考えれば理論的には理解できるかもしれませんが、理解できることと覚えることは異なります。この「なぜ」の問いは、逆説的に、チェロとはそういう楽器だと言っているようにも聞こえます。「ピアノなら白鍵をなぞれば音階が弾けるのに、チェロではそう簡単に弾けない」そういう楽器なのだと。

 チェリストはそれを「理解」するのではなく、そういうことにだんだん慣れていくということなのでしょう。果たしてそれでいいのでしょうか?慣れることなく、倦むことなく「なぜ」という問いをしてみること、そこから新しい発見があるやもしれません…なんちゃって

 さて能書きはこれくらいにして。

 まず最初の図は、ウェルナー教本の「ポジションテーブル」です。

Werner_table_of_position

 前に紹介したように、それぞれの序数ポジションと、それに対する「Raised」が加えられます。このテーブルには基本形(Closed Position)のみの指で、拡張形(Extended Position)の指はありませんが、これが従来型のポジションの考え方を象徴しています。すなわち問題は1の指の位置であって、拡張形であってもそれは同じなのです。すなわち基本形に対する同一のポジション名は、「下へ」拡張した拡張形にも適用されるのです。(「下へ」「上へ」の拡張という考え方は、ポジションそのものというより、その形へ至る奏法の問題なので、別なところでまた話題にしたいと思います。なお、「下へ」は英語表現では「Forward」、「上へ」は「Backward」、すなわち英語では、前後という考え方なんですねぇ)

 さてもうひとつのテーブルは僕が考案したもの。です。これは何でしょうね。ちょっと眺めてみてください。

Tpositiondnew  従来のポジションの体系に対して、この新しい体系を「T-Posision」という名称にしてみました。TはThumbの意味ですが、「Thumb Position」としてしまうと親指ポジションになってしまうので紛らわしいのでこんな名称を考えてみたんです。
「T-Posision」は、2の指の裏側に親指を当てるという、ネックポジション(ローポジション)特有の左手の形状に由来してます。

 これは微妙な問題があって、確かに、2の指と親指をループにするという風に教本で教えられます。しかし、手指の形状や大きさには個人差があり、完全に2の指の裏側ではない場合もあるし、メソッドの進め方によっては、親指を離している場合もあります。しかし、ここではそういう、おそらく少々の差異には目をつぶりましょう。あるいは、親指の代わりに2の指と考えても同じことになります。
 
 そして、この「T-Posision」では、同じポジション内では、親指(すなわち2の指)の位置が同じ、ということを目的にしています。言い換えると、一つの基本形に対して、上への拡張(Backward Extension)を同一ポジションと考えるということです。
 
 ポジションの名称は、従来型と大きく異なるのを避け、番号に「T」をつける名称を使います。「TH、T1、T2、T3、T4」は従来のハーフ、第一~第4ポジションに相当し、「T2’」などダッシュは、「Raised」ポジションに相当します。ただし「Raised」という考え方ではなく、「T2」と「T2’」は、完全に異なるポジションと認識してください。ダッシュは、従来の名称から出来るだけ混乱なく移行するための方便に過ぎません。
 
 この「T-Posision」体系について、従来型との比較でのメリットやデメリット、そしてその適用方法を考えてみましょう。これによっていろいろと解決できるものがあると思っているんですが…

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2008年2月 9日 (土)

気になるポジショニング(1)

 レッスンをしていて説明しにくいことのひとつに、左手のポジションがあります。
 
 最初は第一ポジションから習い始めて、最低音のCから始まる音階をひとつの目標にする。それはいいんですが、その後ですよね。
 
 チェロの手の形は、第4ポジション以下では、基本形と、拡張形の2つの形を原則とします。
 一応念のために説明を入れると、基本形は1から4の指が半音の幅、拡張形は1の指を開いて、1と2の指を全音とするもの。
 
 ポジションの名称は、音が上がるに従って、数字が上がります。第2ポジション第3ポジションという風に。問題はこの上がり方。
 
 ポジションの序数は、1の指が、楽譜上どの音に当たるかによってつけられているということです。その音には#がついていても♭がついていても、同じポジションとされます。
 
 たとえば、D線でいえば、1の指がFの音にあっても、Fisのあっても第2ポジションです。理論上はFes(Eの異名同音)にあっても第2ポジションですが、楽譜表記上出現が稀なので、さすがにそこまで追求している教則本はなさそうです。ただ、理論上であれそれが可能になってしまうこと自体問題なのですが。
 
 ともあれ、どういうことが起こるのかというと、指の並びを、音名とその隣に指番号を()に書く形で説明すると、たとえば基本形で「F(1),G(3),As(4)」「Fis(1),G(2),A(4)」、拡張形で「F(1),G(2),A(4)」、「Fis(1),Gis(2),Ais(4)」、この4つはすべて「第2ポジション」という名称になります。ドイツ音名になじみのない方は、教則本の最初の方のかんたんな楽典を調べてみてください(これを機会におぼえませんか?)
 
 これらは、実際に並べて構えてみるとわかりますが、それぞれ相当に異なる形状と位置になっています。これらをすべて同じポジションとしてメソッドを組み立てるのは、結構無理があるのではないかと、つい思ってしまいます。
 
 ウェルナー教本の英語表記では、Fに1の指のあるものを "Second Position"、Fisに1の指のあるものを、"Raised Second Position"としています。すべて調べたわけではないんですが、これは英語表記では一般的なのかもしれません。
 
 また、東京交響楽団の鷹栖光昭・升田俊樹両氏の著書「やさしいチェロ入門(ドレミ楽譜出版)」第2巻、これは初心者用のすぐれた教本で、ぼくもレッスンで愛用してますが、その中では、前者を「第2ポジションA」、後者を「第2ポジションB」としています。A,Bに続くCという分類で、1の指が半音低い場合の拡張形を表現しています。第3ポジション、第4ポジションではそれも意味を成してきます。この分類はなかなか秀逸だといつも思います。
 
 ただ、異なる位置と形を同じ序数のポジショニング名称として同じ章に分類しているという意味では、従来の考え方を踏襲しているわけです。A、B、Cといった分類はこの教本を使った場合のみ有効で、そのほかの場合は若干の説明が必要です。
 
 端的に言えば、楽譜楽典上の表現と、チェロの指やポジショニングの表現と、それを実現する形すなわち技術の表現、これらのかけはしがあまりうまく行ってないのではないかと感じてます。小難しいこと言ってすみません。原因は、これも端的に、楽譜表現が鍵盤の形状を基にしているからです。それ以外の楽器は、楽譜を読む上で、なんらかの工夫が強いられているのです。
 
 さてなんだか、おおげさな話になってしまいましたが。ま、こういう考察もまた日を改めてしたいですけど。
 
 要するに、ポジショニング、すなわち「場所と形」の表現が、もっと、ほぼ一意に表現出来て、直感的にわかりやすくできる方法を考えれば、より混乱を少なく出来るのではないかなと思っています。
 
 で、僕が考えたのは、親指(または2の指)中心のポジショニングです。
 
 技術的には、親指の位置でポジショニングする、というのは当然のこととして習得してきていませんか?
 
 ところが、その親指の位置の表現が、従来タイプのポジション名称と異なるから混乱するのです。ならば、それを最初からポジショニングの表現に使用する、という考え方なのです。従来型のポジショニング名称をわずかに変更するだけで、それは可能でした。
 

 

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