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2016年2月

2016年2月 3日 (水)

ジュレーム!

 我が家の女子たちは”嵐”のファンなので、”ジュレーム”という名のシャンプーのCMに反応します。相葉くんと松潤がやっているので。

 さて、”ジュレーム”はフランス語に由来するのでしょう。"Je l’aime”ですかね。同じような響きのものに”ジュテーム(Je t’aime)”があります。これは、「君を愛してる」ということで、前者は「それ、好き!」ぐらいかな。aimer や、英語の to love に、ときには「愛してる」と当てたり、単に「好き」とあてたり、日本と欧米の文化の違いで、日本語で「愛してる」といいえば、いまだ尋常ならざる心情なので、状況によって区別する必要があるでしょう。

 それはおいといて、英語なら、”I love you” であり、イタリア語だと”ティアーモ( Ti amo)”、ついでにドイツ語だと"イッヒリーベディッヒ(Ich liebe dich)” ですね。英語はともかく、ティアーモなんて歌謡曲のタイトルですかね。昔はヒデとロザンナがティアーモティアーモって、愛の奇跡ってやつか。今はティアーモといえばexileらしいすね。 ロザンナママの方は、今は娘のお付きでEテレのイタリア語講座に出てます。

 で、これらの違いが、面白いと思うのですわ。ぼくら、英語を習いますよね。だから、主語、動詞、目的語の語順で I love you っていうのを覚えるんですけど。フランス語も、動詞の人称変化はあるけど、だいたい、似たような調子で最初習ってみる。ところが、”ジュテーム(Je t’aime)”は違うんですね。Je te aime が省略された形で、ぼく、君、好き、の順だから、主語、目的語、動詞ということになりますね。目的語が代名詞のときは、こういう順になったりする。まあそんなもんなんでしょう。

 ところがさらにイタリア語になると、”ティアーモ(Ti amo)” 、Ti=君、amo=愛す、で、主語もなくなっちゃう。イタリア語ってよく主語を省略しますよね。比較的英語的なのは、ドイツ語ですかね。

 確かに言語学者によると、ドイツ語と英語は近い関係にあるそうです。イタリア語とフランス語は、ローマ帝国の制服によって普及したラテン語に由来するので、似ています。そういう言語をロマンス語というそうですが、ポルトガル語やスペイン語もそうです。よく似ています。似てるはずなのに違うのが、ジュテームとティアーモ。カタカナで書くと、全く別物。aimer と amore という動詞は似てますね。

 イタリア語のamoは、私= io に対する人称変化です。だから、amoは、単に「愛する」というよりも、それだけで「私は愛する」とわかるから、io は省略されるんでしょうね。ラテン語には、同じような理由で、ほとんど主語はなかったそうですから、引き継いでいますね。

 でも同じロマンス系のフランス語はほぼ主語を省略しません。同じように人称変化はあるのに。フランス語は発音しないスペルが多いからそういう関係もあるんですかね。ラテン語も、ローマの辺境の方言になると随分変わっちゃてるってことでしょうか。

 英語とドイツ語も似てるような似てないようなですけど、そういう言語の系統って、生物進化に似てませんか。元になる生物があって、それが分岐していく。親から子に遺伝しつつ、突然変異で分岐していく。

 そういうのを垂直遺伝というそうですが、生物でいう水平遺伝に似た現象も、言語にあるようですね。たとえば、フランス語には、英語と同じスペルで同じ意味の単語が多くありますが、これは、イギリスとフランスの歴史的交流による外来語が母国語化したものだそうです。まさに、水平遺伝ですね。

 嵐のシャンプーのCMを見て、つらつらこんなことを考えてみました。

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